燐は小さな袋を片手に、廉造の部屋を訪ねた。
廉造の部屋の扉をノックすると、廉造は笑顔を見せながら直ぐに出てきた。
「奥村くんやん、ようきたね。なんの用?」
「ん、しえみがなんかくれたんだ。廉造んとこで開けろって言われてさ、」
燐はそういいながら、右手に持っていたハート模様の小さな紙袋を見せた。
二人は廉造の部屋に入った。机のまわりのクッションに向かい合うように腰掛けた二人。燐がしえみから貰った紙袋を開けた。
中には、真っ赤な色をした口紅が一本、入っていた。
燐は眉間にしわを寄せた。あれ、これ、口紅だよな。
「あれ、しえみ、間違えたのかな……? 俺に口紅なんか……」
そういいながら口紅を手の中で持て余す燐を、頬杖を突きながら見ていた廉造だったが、ふっと微笑んだ。
「なるほどな……杜山さんも洒落たことするんやね」
「え、なんだよ志摩」
「んーん、こっちの話。……せや、奥村くん、口紅貸してぇな」
ん、と燐は何のためらいもなく口紅を廉造に投げた。廉造は上手くそれをキャッチし、直ぐにキャップを開けた。
「……志摩、なにしてんの?」
不審に思った燐が、廉造に問うた。問われた廉造は口紅の下側を捻り、少しだけ中身を出しながら燐に微笑みかけた。
廉造のそういう微笑みが、燐は好きだった。
「奥村くん、左手だして」
燐は首を傾げながら手を出す。廉造は燐の白い手を掴み、薬指の付け根に口紅を塗りはじめた。
ひやりとした口紅の感覚に、燐はびくりと手を震わせる。
「し、志摩、口紅、使い方ちげぇよ……?」
「んーん、あっとるよ。少なくとも杜山さんは、俺等にこうやって使ってほしかったんやえ、」
廉造は燐の薬指の付け根に、ちょうど輪になるようにぐるりと、口紅を塗った。
「ほれ、いっちょあがりや」
廉造がにかっと笑顔を見せて燐の手を離した。燐は掌を持ち上げて赤い輪がついた薬指を見る。
薬指の、赤い輪。
なんだか、これでは、これは、まるで。
「奥村くん、俺にも、かいてや、輪っか」
そう話し掛けてきた廉造の表情が、確信犯的笑みになっているのを確認した燐は、左手を強く握り締め、真っ赤になった。
そんな燐を見ながら、廉造はまた、愛しそうに微笑むのだ。
「あと三年したら、その輪っか、銀色にしましょ、ね」
今は君と繋がる赤い糸。
三年後は、
君と結ばれた証のシルバーリング
廉造の部屋の扉をノックすると、廉造は笑顔を見せながら直ぐに出てきた。
「奥村くんやん、ようきたね。なんの用?」
「ん、しえみがなんかくれたんだ。廉造んとこで開けろって言われてさ、」
燐はそういいながら、右手に持っていたハート模様の小さな紙袋を見せた。
二人は廉造の部屋に入った。机のまわりのクッションに向かい合うように腰掛けた二人。燐がしえみから貰った紙袋を開けた。
中には、真っ赤な色をした口紅が一本、入っていた。
燐は眉間にしわを寄せた。あれ、これ、口紅だよな。
「あれ、しえみ、間違えたのかな……? 俺に口紅なんか……」
そういいながら口紅を手の中で持て余す燐を、頬杖を突きながら見ていた廉造だったが、ふっと微笑んだ。
「なるほどな……杜山さんも洒落たことするんやね」
「え、なんだよ志摩」
「んーん、こっちの話。……せや、奥村くん、口紅貸してぇな」
ん、と燐は何のためらいもなく口紅を廉造に投げた。廉造は上手くそれをキャッチし、直ぐにキャップを開けた。
「……志摩、なにしてんの?」
不審に思った燐が、廉造に問うた。問われた廉造は口紅の下側を捻り、少しだけ中身を出しながら燐に微笑みかけた。
廉造のそういう微笑みが、燐は好きだった。
「奥村くん、左手だして」
燐は首を傾げながら手を出す。廉造は燐の白い手を掴み、薬指の付け根に口紅を塗りはじめた。
ひやりとした口紅の感覚に、燐はびくりと手を震わせる。
「し、志摩、口紅、使い方ちげぇよ……?」
「んーん、あっとるよ。少なくとも杜山さんは、俺等にこうやって使ってほしかったんやえ、」
廉造は燐の薬指の付け根に、ちょうど輪になるようにぐるりと、口紅を塗った。
「ほれ、いっちょあがりや」
廉造がにかっと笑顔を見せて燐の手を離した。燐は掌を持ち上げて赤い輪がついた薬指を見る。
薬指の、赤い輪。
なんだか、これでは、これは、まるで。
「奥村くん、俺にも、かいてや、輪っか」
そう話し掛けてきた廉造の表情が、確信犯的笑みになっているのを確認した燐は、左手を強く握り締め、真っ赤になった。
そんな燐を見ながら、廉造はまた、愛しそうに微笑むのだ。
「あと三年したら、その輪っか、銀色にしましょ、ね」
今は君と繋がる赤い糸。
三年後は、
君と結ばれた証のシルバーリング